ガルウィングダンパー、新たな可能性
こんにちは、兄貴(@ANIKI_hateblo)です。
現代のミニ四駆においてかかせない着地対策。
皆さんはどんな風に対策していますか?
私のメインマシンの着地対策と言えばご存知ガルウィングダンパーです。
フロントヒクオが主流の現在、あまり見ない構成ですが、様々な理由から気に入っていてずっと使っています。
お気に入りのポイントとして、まず一つはパーツ構成がシンプルである事。
可動するユニットに既存のパーツを組み込む事で、一般的なヒクオに比べて圧倒的にプレート類の切断・切削加工が少なく済みます。
基本的にはプレートさえ揃えてしまえば、少しの加工とネジ止めだけで完成してしまいます。
構造がシンプルな分、分解や整備も簡単。
コースアウトなどで万が一破損しても復活が容易です。
もう一つのポイントはフルカウル型ボディとの相性が良い点。
何度かお話しましたが、私がマシンに一番求めるものは「速さ」でも「安定感」でもなく「カッコいいかどうか」。
簡単に言えば、ガルウィングダンパーは(個人的に)カッコいいマシンを組みやすいのです。
弱点としてはネジ止めが多いためにズレやすい事と、若干重い事でしょうか。
ズレに関してはロックナットをキチンと使う事である程度改善されますので是非お試しを。
で、そのガルウィングダンパーですが、何度も走行させて大会にまで持ち込んだので走行データがだいぶ蓄積されて来ました。
その結果、従来型ヒクオでは実現出来ないいくつかの可能性やメリットが見えて来ましたので、今回はそちらの報告になります。
それでは書いて行きましょう。
重心位置の可変幅が大きい
まず第一に、ガルウィングダンパーとヒクオの大きな違いの一つとして、プレートの向きが挙げられます。
基本的にプレート類は全て横向きであるヒクオに対して、ガルウィングダンパーはほとんどのプレートが縦方向にマシンに装着されます。
このせいでキチンと固定しないと走行中にズレてしまうのがガルウィングダンパーの弱点なのですが、実はメリットにもなり得ます。
それはマスダンパーの設置位置を任意で変更出来る点。
もちろんヒクオでも多少の位置変更は可能ですが、マスダンパー設置用のプレートが横向きな関係上、そんなに大規模な位置変更は出来ないのが普通です。
ガルウィングダンパーの場合はマスダンパー用ウイングのネジ止め位置を変更するだけで、かなり大きな位置変更をする事が出来ます。
これは必要に応じて幅広いセッティングに対応出来ると言う事であり、一台組んでしまえばかなりのコースに対応出来てしまうと言う事でもあります。
これはかなりのアドバンテージで、とっさにマスダンパーの位置を1cm前にズラす、みたいな事が出来るのはセッティングを決める上で大きな強みです。
しなりを活かす
ガルウィングダンパーは基本的に左右のアームが長くなります。
だいたいフロントタイヤの後端からマシンのセンターやや後ろくらいまでをアームとして使います。
これだけの長さがあれば、マシンの上下の挙動に対してクイックには着いて来ず、ほんの少しですがユニット全体がしなってワンテンポ後に作動します。
これはつまり着地後すぐにでは無く、わずかに遅れてマスダンパーが叩きつけられると言う事であり、マシンの跳ねに対して非常に効果的に作動すると言えます。
機会があれば着地の瞬間をスローで再生してみると良く分かるのですが、マシンの跳ね始めの運動エネルギーが小さい時では無く、エネルギーが乗って跳ねようとするパワーが大きい時に作動するのが分かると思います。
また、先程も書いた通りマスダンパーの設置位置を変更する事も容易です。
これはつまり、「マシンの挙動に対してどのタイミングで作動させるか」の微調整が可能であると言う事であり、コースによってきめ細やかなセッティングが出来ると言えます。
ガルウィングダンパー、新たな可能性
さて、上記2つの内容を踏まえた上で、私が考えたガルウィングダンパーの新しい利用方法についてのお話。
結論から先に言うと、「ガルウィングダンパーをブレーキとして利用する」と言う新しいセッティングを考案しました。
詳しく説明しましょう。
ブレーキとしてのガルウィングダンパー
先程のお話をまとめると、重心位置の変更が出来てユニット全体がしなるのがガルウィングダンパーの特徴だと言えます。
さらにまとめると、「ユニット全体のしなり具合を重心位置調整によってコントロール出来る」のがガルウィングダンパーです。
ここで実際に走行させ、ジャンプする際のガルウィングダンパーの挙動について考えてみましょう。
まずストレートを走行している時、ガルウィングダンパーはマシンに追従してそのままの位置をキープします。
そしてドラゴンバックなどのジャンプ台に差し掛かった時、マシンはコースに合わせて登り始めますが、ガルウィングダンパーはしなるためワンテンポ遅れて直進時の位置を一瞬キープします。
この時、マスダンパーを支えるウイング部が一瞬マシンより低い位置までしなります。
ここがポイントです。
この一瞬しなってマシンより低い位置にウイングがある時に、ウイング位置によっては一度ウイングがコースに触れます。
もうお分りかも知れませんが、この時にウイング裏にブレーキを貼っておけば、ジャンプ直前にのみ効くブレーキとして作用します。
さらにジャンプした後にも、セッティングによっては着地後もしなりによって一瞬ブレーキが効くようにする事が出来ます。
マシンの前後にはブレーキやスキッドプレートを設置する事が多いですが、ここにさらにジャンプ対策としてブレーキを追加する事が可能になります。
これによって下り坂からのジャンプなど、速すぎるモーターではこれまで制御出来なかったシーンでもセッティングによってクリアする事が可能になります。
マスダンパーの作動とブレーキのタイミングが同じなため、通常のマスダンパーよりもさらに強い制振効果が得られるのもポイント。
前後のプレートでジャンプ前の制御はある程度出来ますが、着地のタイミングでもブレーキをかけられるのはガルウィングダンパーくらいではないでしょうか。
実際のセッティング例
では実際にどのようにセッティングするかと言うお話ですが、これはコースに合わせて試して行くしかありません。
一応私がこれまでに試してみた基準のセッティングとして、ブレーキは灰色、ウイング部の最低地上高(ブレーキ含む)は2mmからスタートしています。
マスダンパー取り付け位置は最長からスタート。
これで実際に走行してみて、ブレーキが効き過ぎるようなら最低地上高を上げるなりブレーキを黒スポンジに変えるなりします。
前後位置の調整やマスダンパーの変更などを同時にしてしまうとセッティングの効果が分かりづらいので、まずはブレーキの種類、その次に最低地上高と順番に変えて行くと良いです。
かなりスピードが乗ってしまうコースの場合、スポンジの代わりにシリコンタイヤを薄くスライスした物をブレーキにするとかなり強く効きます。
それととても大切なポイントとして、ウイング部はかなり厳密に左右の位置合わせを行なって下さい。
左右の高さや前後方向にズレがあると、そのズレに合わせて左右バラバラにブレーキがかかり、マシンの姿勢が崩れます。
セッティングゲージなどを利用して位置合わせをするのが比較的簡単です。
最低地上高やタイヤの直径を簡単に計測出来るので1つあると大変便利です。